α-リノレン酸は、体内で代謝され一部はエイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) になりますが、これらの脂肪酸は体内では生合成されないことから必須脂肪酸と呼ばれています。これらの脂肪酸には、高脂血症の予防効果、神経の発達の効果などがあることから、手軽に摂取するための食品やサプリメントが多数販売されています。α-リノレン酸を多く含む食品として食用油が知られていますが、成分の劣化や偽装により、含有成分がラベルと異なることも起こりえます。
一般に食用油の分析にはGC/MS、各種湿式分析、レオメータなどが利用されますが、赤外分光法は煩雑な前処理が不要な点で優れた分析法であると言えます。
今回はα-リノレン酸が豊富に含まれるエゴマ油を試料として、一滴で分析が可能な一回反射ATR “ATR PRO ONE” を利用し、赤外吸収 (IR) スペクトルから劣化および識別解析を行った事例を紹介します。