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日本分光付属品紹介 ATR PRO ONE

概要

ATR PRO ONEは赤外分光光度計の試料室内に直接取り付けるタイプの柔軟性を有した赤外分光光度計の付属品です。

付属品を自動で認識する機構やATR光学系内にFTIR本体からパージガスを送る機構(スマートパージ機構)などを備えています。

他の付属品とも容易に切り替えができるため、測定の幅を格段に広げます。

FT/IRに設置したATR PRO ONE
図1 FT/IR-4600試料室内に設置したATR PRO ONE
ダイヤモンドプリズム

ATRの性能を決める大きな要素であるプリズムについてもATR PRO ONEは大きな進化を遂げています。

ZnSeやKRS-5による集光機構を省き、モノシリック(単結晶)ダイヤモンドを採用しました。

このことにより、光のロスを減らした高スループットな測定を実現しました。

ダイヤモンドプリズム
図2 ダイヤモンドプリズム

二種の単結晶ダイヤモンドプリズムをご用意しております。

ARコートを採用した高スループット型と30cm−1までの広い波数範囲に対応した広範囲測定型です。

また、ZnSe、Geプリズムも用意していますので、用途に応じて適切なものをご検討ください。

広範囲測定による炭酸塩の識別
図3 広範囲測定型を用いることにより、低波数の格子振動による識別ができます
材質 特長
ZnSe 対応波数範囲は15000-550cm−1で、一般的な有機物や水溶液の測定に使用します。但し、ダイヤモンドに比べ割れやすく、硝酸には溶解してしまいます。
Ge 対応波数範囲は5200-550cm−1で、高屈折率の試料、表面の測定、吸収の強いサンプルの測定に使用します。但し、ダイヤモンドに比べ割れやすく、熱硫酸に溶解してしまいます。
Diamond 対応波数範囲は10000-2500, 1800-300cm−1で(広範囲型は30−1まで可能)、高い機械的強度を誇り、かつ耐酸性です。そのため、酸や溶剤、酸化触媒なども測定することが可能です。
圧力の再現性

ATRではサンプルをステージに設置した後、プリズムとしっかり密着するよう、上部からチップでサンプルを押さえつけます。

トルクリミッタにより、押さえつける力に再現性を持たせ、より精確な測定をご提供します。

ATR PRO ONEに搭載されているトルクリミッタ
図4 トルクリミッタ搭載部とプレッシャーチップ
測定を補助するアクセサリー

サンプルを押さえつけるチップ(プレッシャーチップ)とサンプルの関係を考え、数種類のヘッドをラインアップいたしました。

粉末性、弾性、または溶液性など、様々な状態のサンプルとの関係性を追求した最適なヘッドです。

用途に応じたヘッド
図5 用途に応じたヘッド
ヘッド 特長
フレキシブルヘッド(メタル) 先端がステンレス製のヘッドです。先端に柔軟性があるため、平板の形状をしていないある程度硬いサンプルに対しても有効です。また、プリズムよりも微小なサンプルの測定に威力を発揮します。
フレキシブルヘッド(樹脂) 先端が樹脂製のヘッドです。先端に柔軟性があるため、平板の形状をしていないある程度硬いサンプルに対しても有効です。
フラットヘッド 先端がステンレス製のヘッドです。先端が平らなため、弾性のあるサンプルに対して有効です。
コンケイブヘッド 先端がステンレス製のヘッドです。先端が円錐状で窪んでいるため、粒子状のサンプルに対して有効です。

また、サンプリングを補助するため、プリズムに被せて使用するテーパーガイドや揮発性防止カバーもご用意しております。

テーパーガイドはプリズムの中心に向かってすり鉢状になっており、粉末上サンプルを効率的に測定部位にのせることができます。

揮発性防止カバーは測定中に試料の揮発を軽減します。

ATR補正

これはとても重要なことですが、透過法とATR法では得られるサンプルのスペクトルのピーク強度やピーク位置が異なります。

この違いは波数に依存したサンプル内へのもぐりこみ深さの違いや屈折率の異常分散のために発生します。

そのため測定サンプルをデータベースで検索する際のヒット率を下げる原因となっています。

ATR補正前スペクトル
図6 透過スペクトル(緑線)と補正のATRスペクトル(青線)

ATR法では、透過法との整合性をとるため一般的に測定したスペクトルに対して補正を行います。

日本分光では 屈折率異常分散補正 という新しい手法を従来の補正に組み込むことにより、測定法の違いを意識せずに測定を行えます。

ATR補正後スペクトル
図7 透過スペクトル(緑線)と補正のATRスペクトル(青線)