フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)はスペクトルを短時間で多波長同時に測定できるという特長を有することから、気体や液体の試料をフロー系でリアルタイムに観測可能です。一般的な FT-IR によるフロー系での測定では試料をセルに導入し透過測定を行いますが、液体試料の場合、赤外光の吸収が飽和しない光路長に設定することが難しく、分析可能な波数領域が限られる場合がありました。そこで、液体試料でも吸収が飽和せずに簡単に測定可能な ATR 法に対応したフローセルキットを開発しました。ここでは、システムの特長と分析事例をご紹介します。
● ATR フローセルキットの特長
フローセルキットは ATR PRO 4 X などの 1 回反射 ATR ユニットに取り付けて使用します。プリズムは、酸やアルカリにも強いダイヤモンドプリズムを採用しています。セルは 3 MPa 以上の耐圧性があり、HPLC 用のポンプにも接続可能です。