イメージングデータを解析するには、スペクトルのキーバンドに着目し、そのピーク面積やピーク高さの計算値を使用した色分け図を作成する方法が一般的です。しかし、キーバンドを適切に選択するための経験と専門的な知識が必要です。そのため、キーバンドの選択を必要としない、多変量解析手法の1つである多変量カーブ分解(multivariate curve resolution、以下、MCR と記載します) 法を用いた解析も行われています。一方、MCR を用いて適切に解析するにはスペクトルに対する前処理が必要という課題があります。
MCR を効率良く実施するためには、解析アシスト機能が便利です。解析アシスト機能は、対話形式でスペクトルの前処理を行うことで簡単にイメージングデータを解析することができる機能です。ここでは、顕微赤外分光光度計(顕微FT-IR)で測定したデータを用いて、一般的な解析方法であるキーバンドに着目して作成した色分け図に対して、解析アシスト機能を使用して作成した色分け図を比較しました。また、スクリーニング目的として短時間で測定したイメージングデータに対して、解析アシスト機能を使用した結果も併せて比較しました。
●解析アシスト
解析アシスト機能は、シーケンスと設定ガイドに従って操作することで MCR による適切な色分け図を簡単に作成することができる対話型機能です。シーケンスには MCR に必要な前処理、ガイドには各前処理の内容と操作案内がそれぞれ表示されます。そのため、シーケンスとガイドの内容に沿って解析することで、解析者に寄らずに同じ結果を得ることができます。
また、レシピ機能を使用することで、同一条件での解析を別のイメージングデータに対してワンクリックで実行することができます。