技術情報 アプリケーション Application Data 101023U
LC Application Data

セミ分取SFCおよび円二色性分散計を用いたキラル物質の構造解析

Introduction

キラル物質の各エナンチオマーの構造解析には、核磁気共鳴装置(NMR)、X線回折装置(XRD)、電子円二色性分散計(ECD)、振動円二色性分散計(VCD)、タンデム質量分析計(MS/MS)などが一般的に用いられ、これらの分析には1~100 mg程度の試料が必要となります。

一方で、エナンチオマーを生成する方法は、不斉合成法、結晶化法、酵素反応法、クロマトグラフィーによる光学分割法に大別されます。なかでもキラルカラムを用いたHPLCによる分取精製は、費用対効果が高いことから医薬品、農薬、天然物、生体分子、機能性材料など様々な分野で利用されています。さらに近年では、HPLCと比較して高速・高効率な分離が可能になる超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)が、エナンチオマーの効率的な生成法として注目されています。また、SFCは主溶媒である二酸化炭素(CO2)が常温・常圧下で気化するため、分取時に分画物からの移動相の除去が容易になるという利点もあります。

今回は、セミ分取SFCシステムによりフラバノンのラセミ体を各エナンチオマーに分離・分取し、日本分光製のJ-1500(ECD)およびFVS-6000(VCD)を用いて、これら分画物のCDスペクトルを測定しました。また、計算化学により得られる理論スペクトルと実測したスペクトルの比較を行い、各エナンチオマーの絶対配置を決定しました。

Keywords
キラル分離、分取、エナンチオマー、SFC、CD、構造解析、計算化学
アプリケーションデータ番号
101023U
発行
2020年
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