超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)は、二酸化炭素を移動相中の主要な溶媒とし、速い流速(線流速)で分析を行っても高い分離効率を維持できるという特長を持っています。この特長を生かして分離・分取されているサンプル対象の一つが、キラル化合物です。このキラル化合物の分離条件の検討方法として、個々の物質に対して多種の溶媒と多様なカラムとの組み合わせで網羅的に分析を行うスクリーニング法があります。
近年、SFC用カラムで粒子径 3 µm の充塡剤を使用したキラルカラムが上市されたことにより、従来の粒子径 5 µm の充塡剤カラムを使用したSFCよりも高速・高効率なキラル分離が期待できます。
今回、EXTREMA UFC (Unified Fluid Chromatograph) 及びChromNAV Ver.2のオプションプログラムであるメソッドスカウティング支援プログラムを用いて、モディファイアー溶媒3種と、粒子径 3 µm で高速・高効率が期待できるサイズダウンしたキラルカラム10種により、抗アレルギー性緩和精神安定剤であるヒドロキシジンの高速スクリーニングを行ったので報告します。ヒドロキシジンは塩基性化合物であるため、分離及びピーク形状を改善するためにモディファイアーにジエチルアミンを添加した条件で検討しました。検出に使用した円二色性(CD)検出器は、UV クロマトグラム、CD クロマトグラム及びそれらの比であるg-factor (CD/UV) をリアルタイムに出力することが可能な検出器です。CD クロマトグラムにおいては、分離した光学異性体の光学活性情報がピークのプラス・マイナスの極性として現れます。