バイオディーゼル燃料は植物油中のトリグリセリドをメチルエステル化して脂肪酸メチルエステルに変換することによって得られる。従ってバイオディーゼル燃料中の脂肪酸メチルエステルとトリグリセリドの測定はバイオディーゼル燃料のキャラクタリゼーションに不可欠である。
バイオディーゼル燃料中の脂肪酸メチルエステルとトリグリセリドの定量には、これらの成分の UV 吸収が弱いため、 HPLC(分離カラムにシリカゲルを用いた順相クロマトグラフィ)と示差屈折計(RI)とを組み合わせた測定法が採用されている。しかし示差屈折計(RI)では感度が低く、分離の向上をめざすグラジェント溶出法を用いることができない。また HPLC に使用する有機溶媒も環境汚染の観点から問題がある。
一方、超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)は、移動相として用いる超臨界流体の特性から、高い分離効率を維持したまま短時間分析が実現できると同時に、有機溶媒の使用量が少ない環境に優しい分離分析法である。さらに荷電化粒子検出器(CAD)は UV 吸収の弱い成分などの高感度検出が可能であり、示差屈折計(RI)検出器よりも高感度検出が期待できる。
今回、バイオディーゼル燃料中の脂肪酸メチルエステルおよびトリグリセリドの測定に、超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)に荷電化粒子検出器(CAD)とを組み合わせた分析システムを適用し、高感度、迅速分析を行ったので報告する。