技術情報 アプリケーション Application Data 030-UV-0047
UV Application Data

紫外可視分光光度計を用いた核酸の融解温度および熱力学パラメーターの評価

Introduction

近年、DNA や RNA といった核酸を基本骨格とする核酸医薬品の開発が進んでいます。核酸医薬品は、従来の低分子医薬品や抗体医薬品が主な標的としてきたタンパク質だけでなく、mRNA や miRNA など機能性 RNA も創薬ターゲットにすることができ、かつ化学合成により容易にかつ大量に製造できるという特長から、次世代の医薬品として注目されています。核酸医薬として、生体内での構造安定性や標的分子との結合親和性の向上を目指し、天然の DNA や RNA を化学修飾した人工核酸が主に用いられています1)。この人工核酸の相互作用特性の解明、そして核酸医薬としての適用には塩基配列や塩基数の最適化が重要な課題で、その論理的最適化に向けた検討と評価法の重要性が指摘されています1)。この論理的検討には、様々な環境下における熱力学パラメーターを活用した手法の有効性が注目されており、熱力学パラメーターの効率的な取得法の確立が求められてきました。

ここでは、最大 8 検体を一度に測定可能な PAC-743 水冷ペルチェセルチェンジャーを用い、濃度の異なる同一核酸の温度変化データを測定し、熱安定性の指標である融解温度と同時に熱力学パラメーターを効率的に取得し2)、評価した例を紹介します。

1)小比賀聡,笠原勇矢 (2016)「アンチセンス核酸医薬のデザイン戦略」,『日薬理誌』148, pp 100-104,日本薬理学会
2)杉本直己 (1999)「遺伝子とバイオテクノロジー」,丸善株式会社

Keywords
核酸医薬、核酸、融解温度、熱力学パラメーター、エンタルピー、エントロピー、PCR、サザンブロッティング、細胞内環境、モレキュラクラウディング
アプリケーションデータ番号
030-UV-0047
発行
2020年
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