技術情報 アプリケーション Application Data 170-UV-0048
UV Application Data

令和 4 年改正 水質環境基準 六価クロム基準値への対応
光路長 50 mm フローセルを用いた六価クロムの定量

Introduction

六価クロム化合物は、溶液に触れる、または粒子を吸い込むことによって、手足や顔に炎症を起こすことが知られています1)。さらに、国際がん研究機関 (International Agency for Research on Cancer, IARC) は、六価クロム化合物をグループ 1 「ヒトに対して発がん性がある」物質として特定しています2)。そのため、六価クロムは河川や土壌、電気機器、作業環境といった様々な分野に関わる法令で基準が設けられています3)。例えば、欧州にて電気・電子機器に対する特定有害物質の使用を制限する RoHS 指令では、六価クロムの最大許容濃度は 0.1 wt% と定められています4)

国内では、令和 2 年 (2020) に六価クロムの水道水質基準が、0.05 mg/L 以下から0.02 mg/L 以下に改正されたことに伴い5)、令和 4 年 (2022) には、公共用水域の水質環境基準も 0.02 mg/L 以下に改正されました6)。JIS K 0102 が示すジフェニルカルバジド吸光光度法で六価クロムの定量を行う場合7)、新しい基準値付近では吸光度が非常に小さいため、原則として光路長 50 mm のセルを用いるよう指定されています6)

ここでは、分光光度計と 50 mm フローセル付属のバキュームシッパーを用いて、0 mg/L~0.1 mg/L のクロム酸カリウム水溶液で検量線を作成し、六価クロムの定量を行いました。バキュームシッパーでは、セル洗浄の手間を省くことができ、多検体を効率的に測定することができます。

1) 渋川市役所. “六価クロムについて”. 渋川市. 2020. 詳細はこちら >
2)IARC. “List of Classifications”. IARC Monographs on the Identification of carcinogenic Hazards to Humans. 2020. 詳細はこちら >
3)一般財団法人ボーケン品質評価機構. “六価クロム”. BOKEN. 2015. 詳細はこちら >
4)EU. Directive 2011/65/EU of the European Parliament and of the Council of 8 June 2011 on the Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment (recast). 2011. 詳細はこちら >
5)厚生労働省. 水質基準に関する省令の一部改正等について(施行通知). 2020. 詳細はこちら >
6)環境省. 水質汚濁にかかる水質環境基準の見直しについて(概要). 2021. 詳細はこちら >
7)日本産業規格. JIS K 0102-3 (工場用水・工場排水試験方法-第3部:金属). 2022.

Keywords
六価クロム、水道水質基準、水質環境基準、水道水、公共用水、ジフェニルカルバジド法、バキュームシッパー
アプリケーションデータ番号
170-UV-0048
発行
2022年
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