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日本分光付属品紹介 高感度反射 RAS

概要

薄膜の特性を評価する手法のひとつとして赤外分光法があります。

金属上の薄膜などの測定において、透過法は金属が赤外線を透過しないため、使用することができません。そのため、反射法を利用して測定を行います。特に高感度反射測定法(IRRAS法)は金属板上の厚さ数10Å程度の極めて薄い膜の測定に有効です。

RAS PRO 410-HはFT/IR本体に取り付けて使用することにより、高感度反射測定をおこなうことができる付属品です。

測定原理

金属基板に直線偏光が入射した場合を考えます。

金属基板への入射光と、金属面上の光の入射点に立てた垂線とで形成される面を入射面と呼び、この平面内で振動する波を平行偏光(p偏光)、入射面に垂直な方向に振動する波を垂直偏光(s偏光)と呼びます。

平行偏光が金属基板に入射した時、その反射光は180°位相が反転します。そのため、それぞれの電気ベクトルが強めあい、金属表面に金属面に対して垂直な定常波を作成します。これが光に対して作用することにより、通常の透過法と比べて感度の高い測定を行うことができます。

RAS原理
図1 金属表面におけるp偏光の反射
測定方法

RAS PRO 410-Hを使用した代表的な測定手順を紹介いたします。

  1. サンプルのサイズに合わせて、適切な開口のマスクを取り付けます。
  2. リファレンス用ミラーを下にして設置し、バックグラウンドスペクトルを測定します。
  3. リファレンスミラーの代わりに試料を試料面を下にして設置し、サンプル測定を行います。
RASのマスク取り変え
図2 マスクの取り換え
測定例

アルキル鎖を11個持つ単分子膜のRASスペクトルを右に示します。

それぞれ試料の官能基の特徴を反映しています。

その他、無機積層膜の測定や銅二ロシアニン膜の成膜状態の確認、メッキ後のシミの成分分析、LB膜・ペプチド膜のスペクトル測定、ハードディスク油分の残渣の有無の確認など多様な用途に使用することができます。

FTIR用グローブボックス
図3 アルキル鎖を持つ化合物の高感度反射スペクトル
全真空FTIR + RAS測定システム

FT/IR-6000FVモデルは光学系全体を真空にできるため大気中の水蒸気や炭酸ガスによる影響を除いた高感度の測定を行うことができます。

左図に大気状態と全真空状態での金基板上のトリステアリン薄膜の高感度反射スペクトルを示します。

全真空状態でのスペクトルでは、水蒸気や炭酸ガスの影響を取り除いた良質なスペクトルが得られています。

FTIR用グローブボックス
図4 トリステアリンの高感度反射スペクトル
(上: 大気状態、下: 全真空状態)