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トピックス

JIS R 3106・JIS A 5759に準拠した建築用窓ガラスの測定

概要

省エネルギー対策として、屋根や外壁などに塗ることにより、太陽からの赤外線を反射して表面温度の上昇を抑える効果がある遮熱塗料が注目されていますが、建物全体として断熱効果を高めるためには、窓ガラスの断熱化も必要です。このため、遮熱性を備えたガラスが建築用窓ガラスとして使用されています。
JIS R 3106には、建築用の板ガラス類の可視光に対する透過率や反射率などを試験する方法が規定されています。また、JIS A5759では、建築窓ガラス用フィルムの試験方法が規定されています。日本分光では、紫外可視近赤外分光光度計やフーリエ変換赤外分光光度計を使って、これらのJIS規格に沿った試験が行えます。

JIS R 3106「板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法」

最近注目されているLow-Eガラス(Low Emissivity Glass: 低放射ガラス)は、板ガラス表面に特殊金属膜をコーティングした素材です。通常の板ガラスと比較して放射率が低いことから遮熱性や断熱性に優れ、省エネ効果が高い素材として期待されています。今回は金属膜がコーティングされているLow-Eガラスの分光反射率を、FT/IR-4600フーリエ変換赤外分光光度計とRF-81S反射測定装置の組み合わせで測定し、「反射率・放射率計算プログラム」で垂直放射率を算出した事例を紹介します。
赤外反射測定装置の光学系
図1 RF-81S反射測定装置の光学図
Low-Eガラス垂直放射率の結果より、Low-Eガラスの金属コート面は垂直放射率が0.2以下であり、一般的なガラスと比較して太陽熱を遮る性質があることが確認できました。

さらに紫外可視近赤外分光光度計V-770と積分球ユニットおよび「日射透過率・反射率計算プログラム」を組み合わせることにより総合的な評価が可能です。
Low-Eガラスの反射スペクトル
図2 Low-Eガラスの反射スペクトル

JIS A5759「建築窓ガラス用フィルム」

既存の普通ガラスに日射遮蔽フィルムを貼ることにより、遮熱効果で冷房効率が上がり省エネルギー対策に効果があります。ここでは、普通ガラスに日射遮蔽フィルムを貼った試験片を、紫外可視近赤外分光光度計V-770と積分球ユニットを使って測定を行いました。日射遮蔽フィルムを貼ることにより、可視光線透過率が66.9%、紫外線透過率は0.3%以下になり、普通ガラスと比較して遮蔽効果が明らかになりました。
積分球による透過率の測定
図3 積分球による透過率の測定方法
日射遮蔽フィルムの透過スペクトル
図4 日射遮蔽フィルムの透過スペクトル