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遮熱塗料の性能評価 ヒートアイランド対策技術

概要

近年、省エネルギー住宅用建材やヒートアイランド現象の防止策として期待されるエコ素材が注目されています。これらの先進的なエコ素材は、第三者機関が客観的に性能を実証する環境省の「環境技術実証事業」にて評価が行われたり、JIS規格として評価基準が検討・制定されたりするなど、評価方法を確立する段階にあります。すでにJISが制定されたエコ素材として、遮熱塗料があります。太陽光は近紫外から近赤外の領域の波長においてエネルギーを持っています。遮熱塗料は、近赤外領域の光を一般的な塗料より高く反射することで、太陽の熱エネルギーが建物に与える熱量を減らしています。遮熱塗料の性能評価の規格である、JIS K 5602『塗膜の日射反射率の求め方』では分光光度計を用いて日射反射率を算出する方法が規定されています。
ヒートアイランド現象
図1 太陽熱エネルギーの伝導
日本分光では、近赤外領域まで測定できるV-670型紫外可視近赤外分光光度計と積分球ユニット、JIS K5602に基づいた重価係数での計算が可能なVWST-774型日射透過率・反射率/可視光透過率・反射率計算プログラムを用意しています。

測定手法

JIS K 5602では、塗料を塗布した試験片の拡散反射率スペクトルを測定し、基準太陽光の重価係数を掛けて、日射反射率を算出しています。今回はグレーの遮熱塗料と水性塗料を比較しました。

[測定装置]
V-670 + ISN-723 積分球ユニット
VWST-774 日射透過率・反射率/可視光透過率・反射率計算プログラム
積分球用標準白板 校正データ付(Labsphere社製)
遮熱塗料と水性塗料
図2 遮熱塗料(左)と水性塗料(右)

測定結果

日射透過率・反射率/可視光透過率・反射率計算プログラムを用いて、[JIS K 5602 塗膜の日射反射率の求め方]に基づき、3つの波長範囲それぞれの日射反射率を計算しました。NIR領域と全波長域で遮熱塗料の方が高い日射反射率であることが確認できました。
水性・遮熱塗料のスペクトル
図3 水性・遮熱塗料のスペクトル
表1 水性・遮熱塗料の日射反射率(%)
遮熱 水性
UV/Vis領域 24.09 32.19
NIR領域 70.39 26.68
全波長域 44.30 29.75