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太陽電池関連分析技術(2) ヘーズ測定

薄膜シリコン型の太陽電池について

現在、薄膜シリコン型の太陽電池の開発が進んでいます。これは、通常の結晶シリコン型の太陽電池が数100 µmの厚みを有するのに対して、薄膜シリコン型の太陽電池は10 µm以下で、発電コストのネックとなるシリコン原料のコストを抑えられるためとされています。しかし、シリコン層に光が効果的に吸収されるには200 µmの光路長が必要と言われており、薄膜のままでは充分な効率が得られません。
その対策として、太陽電池の表面に反射防止膜をつけたり、裏面反射層の反射率を高めたり、カバーガラスの透明導電膜や基板などの部材にテクスチャー(細かい凹凸)をつけることで、光量や実質の光路長を稼ぎ、光電変換効率を高める研究が行われています。
今回は、そのテクスチャーの「拡散性能を評価したい」という要望を受け、透過光、及び反射光の拡散性を評価した例を示します。
薄膜シリコン太陽電池の特徴
図1 薄膜シリコン太陽電池の特徴
シリコンによる太陽光の吸収
図2 シリコンによる太陽光の吸収

透過光、反射光の拡散性の評価

透過光の拡散性については、公的規格であるJISのヘーズ測定があります。ヘーズとは、試料を通過する透過光のうち、入射光から2.5°以上それた透過光を百分率で表したものです。散乱光の測定には積分球を用い、以下の計算式で計算します。
計算式
Haze(%)=[(T4/T2)-(T3/T1)]×100
ヘーズ値の求め方
図3 ヘーズ値の求め方(透過)
一方、反射光の拡散性については、決まった測定法がありません。そのため、日本分光は、反射のヘーズの測定法を以下のように提案しています。
計算式
反射Haze(%)=[(R4-R3)/(R2-R3)]×100
ヘーズ値の求め方
図4 ヘーズ値の求め方(散乱)
ヘーズ値計算のパラメーター
図5 ヘーズ計算における各パラメーターについて

まとめ

今回のテーマの「太陽電池用部材の評価」においては、JIS規格のヘーズで指定されている可視域だけではなく、近赤外域などを含めた太陽光発電に寄与する全波長領域で評価するほうが妥当と考えています。さらには、光源の強度分布に太陽の放射強度分布を用いたり、ヘーズで使用される視感度補正係数の代りに評価すべきSi系材料の起電効率を示す分光分布を採用すると、更に適切な太陽電池用部材の評価により適したシステムになると考えています。