レーザラマン分光光度計

NRS-5500/7500
レーザラマン分光光度計
NRS-5500/7500は、Dual Spatial Filtration(DSF)を採用することにより、高い空間分解能を実現しました。レーザー8台搭載(内部2台、外部6台)・検出器2台搭載・極低波数ユニットの搭載・剛性の高い筐体と専用架台などの特長を有し、NRS-5500は、S/N比とピークの分解能を両立するハイエンドモデルです。NRS-7500は、世界最高レベルの高分解を実現し、わずかなピークシフトの検出による応力の解析も可能なフラッグシップモデルです。

レーザラマン分光光度計 NRS-5500/7500の特長

DSF:Dual Spatial Filtration が実現する高い空間分解能

優れた共焦点光学系(DSF)を採用することで、回折限界に近い高空間分解能での測定を実現しました。

DSF(Dual Spatial Filtration)
カーボンナノチューブの測定例

ビームエキスパンダーにより高空間分解を実現

ビームエキスパンダーによりレーザー光を対物レンズの瞳径に適したサイズに成形し、レーザースポットを絞り込みます。この絞り込みにより空間分解能を上げ、微小領域・微小量分析に力を発揮します。

ビームエキスパンダー
レーザー光を瞳径まで広げることにより、理想的な絞り込みが可能

レーザーの波長に応じたビームエキスパンダーを個別に配置しています。複数レーザー搭載時も、各レーザーを最適な光束で対物レンズへ導入し、理想的な絞込みにより高い空間分解能が得られます。

ビームエキスパンダー

焦点距離の長い分光器によるピーク分解能の高い測定

NRS-5500は焦点距離300 mmの分光器を搭載し、S/N比と分解能のバランスを重視した設計になっています。NRS-7500は、焦点距離500 mmの分光器を搭載し、最高レベルのピーク分解能を達成する設計になっています。

ラマンを発表してから約50年、技術力と経験の蓄積がNRS-5500およびNRS-7500に集約されています。

DSF(Dual Spatial Filtration)
分光器の焦点距離が長く、ピーク分離能の高いデータが得られます

高い波数分解が実現する微小な応力測定
NRS-7500

シリコンに応力がかかっている場合、ピークがわずかにシフトします。そのシフト値から応力の大きさが解析できます。Neランプとの同時測定*を行うことで、高精度な応力測定ができます。

*Neランプとの同時測定
波数補正用のNeランプが装置内部に標準搭載されています。サンプルと同時に測定することができ、Neランプの輝線スペクトルを基準に正確なピークシフトを取得できます。

シリコン応力測定
シリコン応力測定
Si基板上の窒化膜による応力変化

アルミハニカムベンチ筐体に支えられた光学系により、安定性と再現性を兼備。環境温度変化やシステムの剛性に敏感なSiのストレス測定において、シフト量0.01 cm-1以下の検出を実現します。

シリコン応力測定
シリコン応力測定
Si基板上の窒化膜による応力変化

グレーティングの自動切換

NRS-5500/7500は、4枚のグレーティングをソフトウェア操作により自動で切換えることができます。レーザーに合わせたグレーティングを選択でき、光学調整が不要です。グレーティングを使い分けることで、広い波数範囲を一度に測定したり、狭い波数範囲を高い波数分解で細かく測定すること等が可能です。

グレーティングの自動切換
グレーティングの使い分けで広波数測定も高波数分解測定も可能

目的に応じたレーザーが選択可能

NRS-5500/7500は、標準搭載の532 nmレーザーの他にオプションで13種類のレーザーが選択可能です。レーザー波長により試料へのダメージや蛍光、アライメントにしやすさ等が異なります。NRS-5500/7500には内蔵2台及び外部6台の合計8台のレーザーを搭載することが可能なため、測定に応じてレーザーを変更することも可能です。

DSF(Dual Spatial Filtration)

また、NRS-5500/7500は紫外レーザーを搭載できます。短波長レーザーはレーザーの侵入長が浅くなり、紫外レーザーを用いることで試料の最表面のスペクトルを得ることが可能です。

レーザーの侵入長
波長と侵入長のイメージ
短波長レーザーを使用することにより試料の表面情報のみを取得することが可能

検出器2台を同時搭載

同時に2台の検出器を搭載できます。検出器は、波長帯や求める分解、高速イメージング対応などの条件に合わせて選択します。検出器の切替はソフトウェアからの操作のみで完了します。

DSF(Dual Spatial Filtration)

極低波数測定に対応

リジェクションフィルターを最大3枚まで入れることが可能で、個別に入射角度の微調整が行えます。極低波数測定用のフィルターを使用する場合、フィルターへの入射角度を微調整することで、その性能を最大限生かすことができ、より低波数域まで測定が可能となります。

極低波数測定用のフィルターを用いたL-シスチンの測定結果
極低波数ユニットを使用することで10 cm-1以下のラマンシフトを測定できます
極低波数測定用のフィルター
極低波数ユニットは外部より挿入でき、光の入射角度の変更が容易です

広い試料室と電動ドア ─ 使いやすさと安全性の両立

JIS C 6802:レーザー製品の安全基準におけるクラス1に対応しています。さらに、レーザー照射のインターロック制御で安全性を高めます。電動開閉ドアはステージ周りの振動を排除し、開口の広い試料室は最大で80 mmの厚い試料や大型アクセサリーに対応します。

極低波数測定用のフィルターを用いたL-シスチンの測定結果
広い試料室で幅広い測定を実現します