技術情報 アプリケーション Application Data 100-RF-0292
FTIR Application Note

FT-IR および二次元相関分光法を用いたシアノアクリレート系接着剤の硬化反応解析

Key Points

FT-IR のラピッドスキャン機能により、瞬間接着剤の高速硬化反応をミリ秒単位で捉え、官能基の変化を分子レベルで評価できます。
二次元相関分光法を組み合わせることで、官能基変化のタイミングや相関関係を明らかにし、硬化に伴う反応メカニズムの解析や製品開発の効率化に寄与します。

Introduction

瞬間接着剤(シアノアクリレート系接着剤) は、雑貨の補修などの一般用途から、電子機器や医療機器などの精密部品製造まで、幅広い用途で使用されています。その硬化速度や接着強度は製品の品質や生産効率に直結するため、硬化反応を正確に把握・制御することは、不良解析や新製品開発において重要です。シアノアクリレート系接着剤の硬化反応は接着強度や硬度などの物理的特性を用いて評価されるのが一般的ですが、反応中の化学構造変化を詳細に捉えることも重要です。

そこで、分子レベルの構造変化を観察可能な赤外分光法を使用することで、硬化過程における官能基の変化を解析しました。フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR) のラピッドスキャン機能a)を用いることで高速硬化反応をミリ秒単位の時間分解能で測定し、得られた時間変化スペクトルデータに二次元相関分光法b)を適用することで、官能基変化のタイミングを詳細に解析し硬化メカニズムを考察しました。これらの手法により、硬化の進行速度や官能基変化を詳細に把握することが可能となりました。材料設計における最適化や不具合解析への応用が期待されます。

a) FT-IR を用いて時間変化測定したいのですが、どの程度の時間分解能がありますか?(280-SO-0007)
b) 3次元スペクトルの詳細な解析に有用な“二次元相関分光法”(280-CA-0002)

Keywords
シアノアクリレート、瞬間接着剤、硬化反応、ラピッドスキャン、二次元相関分光法、反射法、FT-IR、反応解析
アプリケーションデータ番号
100-RF-0292
発行
2025年
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