電子冷却型Type-II 超格子(T2SL-TE) 検出器は、液体窒素を必要としない高感度検出器であり、RoHS 指令に適合しています。
T2SL-TE 検出器は、赤外顕微鏡 IRT-5X/7X に搭載可能な半導体型の検出器です。超格子とは、ナノメートルオーダーの厚さを持つ異なる半導体材料を交互に積層した構造を指します。
一般的に、赤外顕微鏡では MCT (HgCdTe) 検出器が使用されています。特に液体窒素冷却型 MCT 検出器は高い感度を有し、µm オーダーの微小領域の測定に威力を発揮します。一方で、液体窒素による冷却を必要とするため、ランニングコストや取り扱い上のリスクが伴います。また、MCT 検出器は水銀、カドミウムといった RoHS 指令の制限対象物質を含んでいます。RoHS 指令の例外規定により、赤外分光用検出器に含まれる水銀、カドミウムの使用は認められていますが、例外規定は定期的に見直されており、環境規制への対応も検出器を選択する上で重要な要素となっています。これに対し、T2SL-TE 検出器は液体窒素による冷却が不要であり、インジウム、ヒ素、アンチモンといった制限対象外の物質から構成されているため、RoHS 指令に適合しています。そのため、運用性と環境適合性の両面において、液体窒素冷却型 MCT 検出器に代わる新たな選択肢となり得ます。ここでは、T2SL-TE 検出器を利用した微小領域の測定例およびマッピング測定例について報告します。
