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レーザラマン分光光度計によるリチウムイオン電池の評価

概要
ラマン分光法は炭素材料や金属酸化物の測定に有力な分析ツールです。イメージングにより、表面の劣化解析や成分分布を解析できます。今回は、ラマン分光光度計を用いたリチウムイオン電池材料の分析例を紹介します。
ラマン分光光度計
図1 ラマン分光光度計

バインダーの分析

PVDFはリチウムイオン電池のバインダーとして使用されている材質のひとつです。バインダーの材質や分布状態はリチウムイオン電池の寿命や性能に密接に関係します。ラマンイメージングにより、活物質とバインダーの分散状態を解析できます。
PDVFのラマンスペクトル
図2 PVDFのラマンスペクトル

正極の分析

正極にはLiCoO2などの遷移金属酸化物が使用されています。ラマンスペクトルを解析することによって、製品の劣化解析が可能です。
LiCoO2のラマンスペクトル
図3 LiCoO2のラマンスペクトル

負極の分析

負極には主に炭素材料が使用されています。ラマンイメージングによって製品の劣化解析や炭素材料の結晶性評価が可能です。
炭素材料の1600cm−1付近と1350cm−1付近に検出される振動モードは、それぞれGバンド、Dバンドと呼ばれます。顕微ラマンイメージングした電極表面のGバンド/Dバンドのピーク強度比や半値幅を比較することにより、結晶性や品質を評価できます。
グラファイトのラマンスペクトルとバンドイメージング
図4 グラファイトのラマンスペクトル(左)とGバンド/Dバンドのイメージング(右)