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日本分光付属品紹介 加熱型1回反射ATR

概要

以前より、日本分光ではサンプルに徐々に温度をかけつつ、その変化をATRで測定したいという要望に応えるため加熱型一回反射ATR ATR PRO670H-Sをラインアップしてきました。

加熱型一回反射ATR ATRPRO670H-S
図1 加熱型一回反射ATR ATRPRO670H-S
最大加熱温度・対応プリズム

ATR PRO670H-Sでは3種類のプリズムを選択でき、最大加熱温度はプリズムに依存します。

例えば、ダイヤモンドの場合は最高180℃まで加熱しながら測定可能です。

いずれのプリズムも通常の1回反射ATRに使用しているものと同じ高効率タイプを採用しており、TGS検出器を使用した場合においても高い精度での測定が可能となっています。

プリズム 最大加熱温度
ZnSe 120℃
Ge 150℃
Diamond 180℃
180℃におけるサラダ油の測定

ATR PRO670H-Sを使用してサラダ油の180℃における劣化度合を測定したスペクトルを示します。

油脂の不飽和脂肪酸は酸化劣化に伴いcis-trans変換が観測されます。

そのため、それぞれに由来するピークを観測することにより、劣化度合を調べることができます。

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加熱型ATRによるサラダ油測定
図2 サラダ油の180℃におけるスペクトル変化
350℃加熱型ATR

日本分光では、180℃を超える温度での測定を可能にするため、新たな加熱型ATRを開発しました。

この350℃加熱型一回反射ATRは350℃までの加熱測定をサポートしており、サンプルの融解・ガラス転移などの追跡により適しています。

350℃加熱型一回反射ATR
図3 350℃加熱型一回反射ATR

左のスペクトルはPET加熱時のカルボニル基の変化を追跡しています。

室温から350℃へ加熱していくことにより、カルボニル基のピークが高波数側へシフトしていく様子を観測できました。

加熱型ATRを用いたPETの温度変化スペクトル
図4 PET加熱時のカルボニル基の変化追跡