技術情報 アプリケーション トピックス 異物分析、サイズに適した測定、解析方法
トピックス

異物分析、サイズに適した測定、解析方法

概要
各種デバイスの高精度化・高密度化に伴い、微小異物の分析が急務とされています。異物の分析には各種顕微鏡や蛍光X線などが利用されていますが、異物の化学構造が解析できる赤外およびラマン分光法に代表される振動分光学的手法が物質の同定には重要なツールとなります。これらの振動分光学的手法は、化合物の化学構造に特有のスペクトルパターンをデータベースと比較することによって、無機物から有機物までの幅広い試料の定性や定量が可能です。一般的に、赤外とラマン分光法は相補的な関係にあるといわれるため、双方を組み合わせて使用することによって未知試料の探知精度が向上します。
図1 異物のサイズに適した分析装置

顕微レーザラマン分光光度計による異物分析

特長

  • 埋没した試料やガラス越しの非破壊測定が可能
  • 低波数測定が容易であるため無機物の測定に有利
  • 高速イメージングにより、複合異物についても各成分を空間的に分離して短時間測定が可能
ラマン3Dケミカルイメージ
図2 透明電極中の異物(ポリエチレン)のラマンスペクトルと3Dケミカルイメージ

腐食物の測定

金属はラマン不活性ですが、酸化物などの化合物を形成するとラマン分光法で検出が可能です。無機物は低波数領域にピークが観測されるため、赤外分光法よりもラマン分光法が適しています。結晶多形の分別もできます。鉄上の錆を2 箇所測定したところ、黒色部(B)はFe3O4、褐色部(A)はオキシ水酸化鉄であることが分かりました。
ラマンによる鉄錆測定
図3 鉄上の錆のラマン測定

近接場顕微赤外分光システムによる異物分析

特長

  • 近接場光により、回折限界を超えた空間分解能で測定可能
  • プローブ顕微鏡であるのでトポ像を取得しながら分光測定可能
近接場IRの測定方法
図4 近接場IRの測定方法

トポ像を取得しながらのNFIR測定

カラム充填剤(ODSカラム)は、シルカゲルにオクタデシルシリル基(OctaDecylSilyl=ODS基,C18基)を化学結合した充填剤水酸基があり、Si-OHの構造を持っています。NFIRで測定したところ、SiとCHのピークが見られました。
トポ像
図5 トポ像とODSカラムのNFIRスペクトル

赤外顕微鏡による異物分析

特長

  • データベースが豊富
  • 光の照射によるサンプルへのダメージがない
  • 高速イメージングにより、複合異物についても各成分を空間的に分離して短時間測定が可能

バーコードインクの測定

観察型ATRとスマートマッピングの組み合わせにより、プリズムと密着している試料を観察しながら測定位置を設定できます。
赤外顕微鏡によるインクの測定
図6 バーコードインクの測定

Mixture Analysis

Mixture Analysisを用いることによって、複合成分から構成された異物を同時検索できます。
赤外顕微鏡による異物の総合分析
図7 異物の複合成分検索