図1は、吸収帯波長領域におけるCD、ORD、UVスペクトルの関係を模式的に示しています。UVスペクトル領域内では、ORD曲線の異常分散とCDのピークが観測されます。この2つの現象はコットン効果呼ばれ、光学活性物質の立体配置、立体配座を知る手がかりになります。コットン効果に関する情報は、まとめると以下の3つになります。
- 符号(±): CD(+)、ORD(長波長側極大値)
- 大きさ: CDピーク値、ORDの山、谷の振幅
- 位置: CDピーク波長 = ORDの変曲点
図2は、(1S)-(+)-10-Camphorsulfonic acid ammonium saltのUV、ORD、CDスペクトルです。220~350nmの波長領域でコットン効果を示しています。このように長波長側にORDの極大値を持つ場合を正のコットン効果といい、短波長側にORDの極大値を持つ場合を負のコットン効果といいます。(1S)-(+)-10-Camphorsulfonic acid ammonium saltの光学異性体である(1R)-(-)-10-Camphorsulfonic acid ammonium saltは、短波長側にORDの極大値を持ちます。ORD、CDスペクトルを測定すれば、D体、L体どちらであるかを判別することができます。