技術情報 Web基礎セミナー ORD・CDの基礎(5) 微量測定、高速反応、多検体スクリーニング
ORD・CDの基礎

ORD・CDの基礎(5) 微量測定、高速反応、多検体スクリーニング

マイクロサンプリング(一滴測定)

光路長1mmセルでのCD測定には、試料量400µL程度を要します。大変貴重なサンプルで、さらに少ない試料量の測定が必要な場合には、マイクロサンプリングディスクが有効です。組み立てディスク中央の撥水コート領域内に、試料一滴を滴下するだけで、CDスペクトル測定が可能です(図1)。2µL(光路長0.2mm)から10µL(光路長1mm)に対応。図2に一滴CDスペクトル(10µL)測定した結果と、円筒型セル(400µL)で通常のCDスペクトル測定した結果を示します。試料量1/40でほぼ一致したCDスペクトルが得られます。

一滴測定
図1 試料のセッティング
牛胸腺由来のDNAのCDスペクトル
図2 牛胸腺由来のDNAのCDスペクトル

高速反応解析(ラピッドキネティクス)

ストップトフロー法を用い、光学活性物質の反応過程を追跡することができます。反応速度、短寿命中間体の検出、反応阻害剤・促進剤の評価などさまざまな応用がありますが、とりわけタンパク質のフォールディング解析は広く行われてきました。ストップトフロー測定により、msecオーダーでCDスペクトルの変化を追跡することにより、タンパク質の変性やキラル分子の構造変化の様子を可視化することができます。図5はKOH水溶液によるD-グルクロノラクトンの加水分解反応を示します。

D-グルクロン酸ラクトン水溶液の加水分解
図3 D-グルクロン酸ラクトン水溶液の加水分解

多検体スクリーニング(HTCD)

ここまでCDによるタンパク質の構造変化モニタリングの有効性を述べてきました。近年は、CDに加えUV吸収・蛍光の同時測定や、温度変化・pH変化などを組み合わせたマルチパラメータ測定が盛んに行なわれています。それと同時に多検体を全自動で測定するというニーズが急速に高まってきています。核酸医薬、抗体医薬など、テーラーメードを志向した医療の実現には、必要とするキラル分子のスクリーニング探索が必要不可欠で、CD測定機器にもこのためのハイスループット測定システムへの拡張性が求められています。

ハイスループットCDシステム
図4 ハイスループットCDシステム
qHOSプログラム
図5 qHOSプログラム 同一性確認試験
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