教科書にはベースライン、ブランクの測定は「溶媒/溶媒」と書かれていますが、今は、「対照光束には何も入れる必要はない」と理解するのが適切です。
もちろん教科書どおり、「溶媒/溶媒」でもOKです。しかし、入れても入れなくても結果が同じなら、入れないほうがいいでしょう。また、ガラス板のような固体を測る場合には、「空気/空気」です。
対照側に何も入れなくて良い理由
図1のように、対照光束の光強度Rは、%T(Abs)の計算時に打ち消されるので、対照光束に溶媒を入れても入れなくても、同じ結果が得られます。
なぜ対照光束が必要なのですか?
比をとることによって、光源のふらつきを補償し、測光値の変動を低く抑えるためです(図2)。
紫外可視分光光度計の基礎(5)も合わせてご参照ください。
教科書には対照光束に溶媒を入れると書かれている理由
コンピュータが装置に内蔵されていなかった時代、ベースライン補正の計算機能がなく測定結果は直接チャート用紙に記録されました。そのような装置では、対照光束に溶媒をセットして、光学的にAbs0または100%Tを確保することが必要だったからです。
対照光束に溶媒を入れると有効なケース
測定する溶媒に吸収がある場合に有効です。S/Nやダイナミックレンジが改善します(図3)。