技術情報 Web基礎セミナー 紫外可視分光光度計の基礎(8) 知っておきたい、UV測定の基本 その3
紫外可視分光光度計の基礎

紫外可視分光光度計の基礎(8) 知っておきたい、UV測定の基本 その3

積分球について

積分球は内壁に高反射率素材を塗布した球です。
積分球内で光を多重反射させて光を均一にし、その光の一部を検出します。従って、試料の濁りで散乱した光や平面ない試料を透過させた光も、積分球でしっかり測定できます。
積分球の構造
図1 積分球の構造

厚い・平面ではないサンプル測定

厚い、もしくは平面ではないサンプルの場合、ベースライン測定時とサンプル測定時とで光路が変わるため、検出器の受光面における光の位置やサイズも変わってしまいます。従って、通常のUV測定では透過率が測れません。このような場合に積分球が必須です。
レンズの透過率測定、積分球
図2 フレネルレンズの測定

積分球の測定結果がおかしい

試料(青線)の反射スペクトルを測定したところ、普段とは違うスペクトル(赤線)になったという事例があります。ほとんどの場合は「標準白板の汚れ」、または「積分球の汚れ」が原因です。

スペクトルの異常、積分球の汚れ
図3 試料のスペクトル(青線)が異常(赤線)になった例
標準白板の汚れ
積分球の反射スペクトルは、標準白板を参照にします。この白板を手で触ったり、溶剤の雰囲気に曝したり、床に落としてしまうと汚れが付着して、特に紫外域における反射率が落ちます。これを参照すると、試料の反射率が高くなってしまうことがあります。

標準白板の汚れ
図4 汚れた白板と新品の白板のスペクトル
標準白板の管理方法
実用的な評価方法として標準白板を2つ用意し、1つは基準白板として大切に棚の中などに保管し、1つは日常の測定用の白板にします。2つの白板が同じように汚れる可能性は低いので、基準白板に対する測定用白板の反射率を測定すれば、測定用白板の汚れを見つけられるでしょう。また基準白板は、実験室とは別の部屋に保管しておくことで、空気による汚染も見つけられるでしょう。

積分球の汚れ
例えば、積分球の中に蛍光性のサンプルがこぼれ、測光値が異常になってしまったことがあります。積分球に紫外光を入射して、光っているものがないか確認します。
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