技術情報 Web基礎セミナー 紫外可視分光光度計の基礎(2) 紫外可視分光光度計で分かること
紫外可視分光光度計の基礎

紫外可視分光光度計の基礎(2) 紫外可視分光光度計で分かること

分光とは

分光とは何か?「虹」を例にして考えてみます。虹ができる要因の一つが、大気中の水滴です。光が大気中に浮遊する水滴を通る際に屈折するのです。このとき屈折率が波長ごとに異なるというのがポイントです。波長によって光が進行する角度が変わり、光が波長ごとに分かれ、結果的に虹ができるのです。発明当初の分光光度計では、このように屈折率の違いを利用して光を分光するプリズムが、分光器に搭載されていました。
プリズムによる分光
図1 プリズムによる分光

紫外可視分光光度計による測定

分光光度計は、波長ごと分けた光を試料に透過し、透過率を測定する装置です。例えば、図2は、液晶パネルに搭載される3種類のカラーフィルターを測定した例です。赤色のフィルターであれば600nm以上の光を、緑色のフィルターであれば500~600nmの光を、青色のフィルターであれば400~500nmの光を透過していることが、波長と透過率の関係を表すスペクトルとして確認できます。
LCDカラーフィルターのスペクトル
図2 LCDカラーフィルターのスペクトル

Bouger-Beerの法則

例えばワインのように色のついた液体をグラスに入れ、横から覗き込むとグラスの後ろの景色が見えます。水で薄めれば、さらに明るくはっきりと見ることができます。このように、濃度が小さくなると透過する光の量は多くなります。この関係を式として表したものが、Bouger-Beerの法則です。
物質に入射した光の強度をI0、透過した光の強度をIとすると以下の関係式が成立します。
   I=I0e-εCl
Cは溶液のモル濃度、lは溶液の光路長(厚さ)、εはモル吸光係数(物質固有の光の吸収の大きさ)を示します。両辺に対数をとって式を変形します。(I/I0は透過度とする。)
   -logI/I0=εCl
-logI/I0を吸光度Aと定義することで、濃度と比例関係のある式が得られます。
   A=εCl
吸光度Aは、試料の濃度Cに比例する。この関係式から検量線を作成し、未知の物質の濃度をより正確に求める(定量する)ことができます。
Bouger-Beerの法則
図3 濃度と透過度(上)、吸光度(下)の関係
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