紫外可視分光光度計の基礎(5)と
(6)で、ダブルビームの分光光度計は参照光によって「光源のゆらぎ等に起因する装置のドリフト」を常に補正していることを述べました。これに対して、補正のないシングルビームの分光光度計では、どのような部分に気をつけなければならないか、ポイントを記します。
1. ベースライン(ブランク)測定を毎回行う必要がある。
シングルビーム測定では、光源のゆらぎを補正し正確な測定を行うために、測定前にベースライン測定を行う必要があります。セル洗浄、ブランク溶媒注入、ブランク測定という作業が測定ごとに必要になります。
2. ウォームアップの時間を確実にとる必要がある。
光源の熱が装置全体に広がるまでベースラインが変動します。
シングルビームの分光光度計では、参照光による補正がないため、電源を入れた直後では、ベースライン変動の影響が特にでます。
ウォームアップの時間を確実にとることが必要です。
3. 時間変化測定にはむいていない。
経時変化や温度変化に伴う吸光度変化を測定する場合は、補正がないため、むいていません。