技術情報 Web基礎セミナー 紫外可視分光光度計の基礎(9) 知っておきたい、UV測定の基本 その4
紫外可視分光光度計の基礎

紫外可視分光光度計の基礎(9) 知っておきたい、UV測定の基本 その4

シングルビーム測定の留意点

紫外可視分光光度計の基礎(5)(6)で、ダブルビームの分光光度計は参照光によって「光源のゆらぎ等に起因する装置のドリフト」を常に補正していることを述べました。これに対して、補正のないシングルビームの分光光度計では、どのような部分に気をつけなければならないか、ポイントを記します。

1. ベースライン(ブランク)測定を毎回行う必要がある。
シングルビーム測定では、光源のゆらぎを補正し正確な測定を行うために、測定前にベースライン測定を行う必要があります。セル洗浄、ブランク溶媒注入、ブランク測定という作業が測定ごとに必要になります。
シングルビームでの測定手順
図1 シングルビームでの測定手順
2. ウォームアップの時間を確実にとる必要がある。
光源の熱が装置全体に広がるまでベースラインが変動します。
シングルビームの分光光度計では、参照光による補正がないため、電源を入れた直後では、ベースライン変動の影響が特にでます。
ウォームアップの時間を確実にとることが必要です。

3. 時間変化測定にはむいていない。
経時変化や温度変化に伴う吸光度変化を測定する場合は、補正がないため、むいていません。

固定波長測定の留意点

簡易な分光光度計から高精度な分光光度計まで、固定波長測定の機能はあらゆる分光光度計に搭載されています。測定する波長が決まっている場合は、短時間で測定できて便利です。しかしながら、固定波長ゆえ、
「ベースラインが浮く」、
「溶媒による吸光度の変化」、
「不純物による吸光度の変化」
などの異変に気がつきにくいのも事実です。
おかしいと思ったら、まずスペクトル測定してみてください。
濁りのある試料、ベースラインが浮く
図2 濁りのある試料の測定(ベースラインが浮く)
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