▼ 技術情報> 目次> 紫外可視分光光度計の基礎(5) 紫外可視分光光度計のノウハウ

ボタン 資料請求

◆紫外可視分光光度計の基礎(5) 意外と知らない?紫外可視分光光度計のノウハウ

ベースライン

図15 シングルビームとダブルビームのベースライン

シングルビームの光学系

図16 シングルビーム(上)とダブルビーム(下)の光学系

▼ダブルビームのすすめ
使用目的として、検体数が比較的少なく、定量や固定波長測定に限るような場合にはシングルビーム方式の分光光度計で充分です。 一方、精度を要する場合や、時間のかかる多検体測定、経時変化や温度変化に伴う吸光度変化を測定するような場合は、 ベースラインが安定で、高精度測定を迅速に行うことのできるダブルビーム方式の紫外可視分光光度計をおすすめします。

▼シングルビームとその特徴
シングルビームは、分光器から出た光がそのまま試料に照射され、検出器に入るものを指します。
--------------------------------------
・光学系が単純になるため、安価です。
・光源のゆらぎなどの影響を受け、時間の経過と共に透過率が変動します。(図15)
・正しい吸光度測定には、ブランク測定が必須です。
・時間変化、温度変化測定には適しません。
・短時間で測定できる固定波長測定に適します。
--------------------------------------

▼ダブルビームとその特徴
ダブルビームは、分光器から出た光をビームスプリッターで2光束に分け、試料とリファレンスに照射し、検出するものを指します。 リファレンスにより、自動でブランク補正できます。
--------------------------------------
・光学系が複雑になるため、やや高価です。
・光源のゆらぎ等の影響が除けるので、時間変化に伴う吸光度変化が少なく安定です。
・時間変化、温度変化、多検体測定に適します。
--------------------------------------

緑線
セル

図17 セルの吸収、反射と透過率

▼高精度な測定を実現するセルの使用方法
市販されているセルには様々な種類があります。 ガラス製、石英製、プラスチック製という材質の違うもの、 5mm、10mm、20mm、50mmという光路長の違うもの、キャピラリーセル、フローセルという形状の違うもの等が挙げられます。
測定したい波長の透過率が高いなど、目的に合わせてセルを選択することはもちろん重要です。 さらに、ロット番号の同じセルを使用する、セルを使用する向きを揃える、 セルホルダの奥まで固定し、同じ位置で測定するなどといった工夫が、セルの透過率を一定にし、 精度の高い測定を可能にします。

緑線
回折

図17 カフェイン_0.01mol NaOH 水溶液の測定

干渉の効果

図18 純水のスペクトル測定

▼溶媒の吸収と試料の吸収を判別する
たとえ適切なセルを選び、ベースライン測定を正確に行ったとしても、溶媒に吸収があるとスペクトルに影響が出ることがあります。
図17はその一例ですが、紫外部に吸収を持つ水酸化ナトリウム溶液に、カフェインを溶かして測定を行ったものです。 極端な場合、青と緑のスペクトルの違いが現れます。 注意したいのは、緑のスペクトルを見て、「200nm付近のピークで定量が出来る」という誤解をする危険があることです。 実は、日本薬局方にもこの偽ピークが載っています。
試料の濃度を変え、ピークの大きさの変化を確認すれば、試料のピークかどうかの判断はつきます。 しかし、公的に規格されていて、ほとんど不合格にならない試料を測り続けていると、誤りに気づくことができません。 従って、分析法を作る最初の段階での溶媒選択が非常に重要なのです。
では、溶媒のスペクトルはどのように測定すれば良いでしょうか。 図18の青色のスペクトルは、試料室を空にしてベースラインを測定後、試料側にのみ10mmセルをおいて水を測定した例です。 セルによる光の吸収、反射をキャンセルできないため、可視域でも透過率が80%程度と、実際よりも透過率が低くなります。
そこで、より正確な溶媒のスペクトルを測るために、「吸光度が光路長に比例する」という法則を利用します。 対照側に10mm、試料側に20mmのセルを置いて測定すれば、光路長の差である10mmで測定した場合と同様の結果が図18の緑色のスペクトルとして得られます。 このように対照側に手を加えることで、溶媒のようなブランクが無い試料でも測定することが出来ます。

緑線
光検出器

図19 吸光度の高い試料の測定方法

光電子増倍管

図20 吸光度の高い試料のスペクトル

▼吸光度の高い試料を高感度に測定する
光電子増倍管の感度は、検出器にかかる電圧によって決定します。 電圧の調整は検出器に入射する光量に依存し、 光量が減少すると電圧が高くなり、感度が上昇します。
光電子増倍管は、試料側、対照側光束ともに検出しているので、 対照側光束を透過率1%程度のNDフィルタで減光することにより 検出器の感度を上げることができます。
この方法は吸光度3以上の試料に対して有効です。 図20で明らかなように、減光無しに比べてノイズが少なく、 高感度に測定できることが分かります。

>>(6)知っておきたい、UV測定の基本

123456789
緑線

▼関連製品
 ・紫外可視近赤外分光光度計(V-600 series)
 ・ライフサイエンス用紫外可視分光光度計(V-630BIO)
 ・ハイエンド紫外可視分光光度計(V-7000Series)
 ・ポータブル分光光度計(MV-3000)

白線

紫外可視分光光度計の基礎(5) 紫外可視分光光度計のノウハウ