ここでは貧溶媒添加法のひとつであるASES法について詳しくご紹介します。
超臨界流体技術によって微粒子を形成する方法として、貧溶媒として超臨界流体を利用して微粒子を生成させるASES法(Aerosol Solvent Extraction System)があります。
図1にASES法のシステム流路図を示します。ASES法は、超臨界二酸化炭素中に溶質を溶解した有機溶媒溶液をノズルから噴入し、微粒子を得るSAS法(Supercritical Anti-Solvent Process)に類似したプロセスです。超臨界二酸化炭素を連続して送りこむことにより、有機溶媒を除去した微粒子を得ることができます。
微粒子を生成させる場となる超臨界流体は、超臨界二酸化炭素ポンプとモディファイア送液ポンプにより晶析容器へ送液され、超臨界流体状態とします。その容器内へ溶媒送液ポンプから微粒子とする溶質が溶解している溶質試料溶液を晶析容器内へ送り込み、ノズルから噴出し、微粒子を生成させます。晶析容器は、恒温槽内またはジャケットを用いて温調されています。容器の下流側には、圧力調整弁が接続されています。なお、容器の出口には溶出してくる溶液のUV吸収などをモニターするための検出器を接続し、溶質の濃度などをモニターすることも可能です。生成した微粒子はフィルタに捕集されます。
図2は、観察窓付きの晶析容器(図3)を使用して、生成したフマル酸クレマスチンの微粒子が凝集する様子を観察窓で撮影した画像です。観察窓付きの晶析容器は、微粒子が形成される条件検討時に超臨界流体と溶媒の混合状態や、微粒子の凝集状態などの情報をCCDカメラを用いて映像として記録することができます。