J-1050 シリーズは、光学系・電気系の刷新により、ベースライン変動を極限まで低減しました。時間変化測定・温度変化測定など、測定の間にベースラインの取得ができない条件でも、これまでにない安定した CD スペクトルを提供します。長時間測定における高い信頼性により、わずかな構造変化を追跡できます。
微小シグナルを検出できる高い感度と安定性により、1 mdeg の CD 値の差を、容易かつロバストに評価できます。従来は判断が難しかった CD 信号のわずかな違いも、信頼性の高いデータとして可視化します。
マイクロサンプリングディスク MSD-462 を用いることで、わずか 2 µL の試料で CD スペクトルを取得できます。さらに、MSD-462 と専用のレンズ集光系を組み合わせることで、通常のセルと同じ測定時間で同じ品質のスペクトルを得ることができます。微量測定で取得したスペクトルから算出した二次構造の比率は、一般的な光路長 1 mm セルで取得した比率と一致しており、微量な試料でも、歪みのない高品質なスペクトルを取得できることを示しています。
| セル | Helix | Strand | Turn | Others |
|---|---|---|---|---|
| MSD-462 | 26.0 | 12.9 | 14.6 | 46.5 |
| 1 mm セル | 26.8 | 12.1 | 14.8 | 46.2 |
※ 試料量と濃度 MSD-462の場合:2 µL 0.5 mg/mL、光路量 1 mm セルの場合:300 µL 0.1mg/mL
J-1050 シリーズのモノクロメーターには、ダブルプリズムモノクロメーターを採用*1し、200 nm における迷光を 0.0003 % 以下に抑えています。吸光度 2 を超える試料でも、歪みの無い高品質な CD スペクトルを取得できます。そのため、タンパク質の CD 測定を妨げる高吸光度のバッファーや添加剤の存在下でも、高精度な高次構造評価が可能となります。
*1 J-1750 の近赤外域はトリプルモノクロメーターを搭載
J-1050 シリーズは CD スペクトルだけでなく、吸光度、蛍光スペクトルの同時取得が可能です。タンパク質測定時には、吸光度スペクトルとアミノ酸配列から、試料調製時の濃度誤差や光路長の違いを補正して、CD スペクトルを平均残基モル楕円率に自動変換できます。また、蛍光スペクトルからは、タンパク質の三次構造の情報を取得することができます。
バリデーションプログラムにより、薬局方*2 に定められた装置性能の確認試験を支援します。JP の「円偏光二色性の正確さ」と「変調の直線性」試験に使用できる (1S)-(+)-10-カンファースルホン酸アンモニウムは日本分光で検査した試薬を提供できます。
*2 対応規格:JP、EP
固体試料の CD 測定では、試料の巨視的異方性に由来するアーティファクトの影響を評価する必要があります。エナンチオマーにおけるCD スペクトルの対称性の確認に加え、CD と LD スペクトルを測定し、その角度依存性を確認することで、巨視的異方性の影響を実験的に評価することができます。J-1050 シリーズでは CD と LD 信号を同時に測定することができ、固体試料の CD スペクトルの妥当性を効率的に評価できます。
粉末試料のように透過法では測定が困難な試料には、積分球を用いた拡散反射 CD 測定が有効です。CD と LD を同時に測定することで、拡散反射法でも試料の巨視的異方性を実験的に評価することができます。
円偏光検出材料やキラル光機能材料などの研究では、大きな CD 信号を示す新規材料が報告されています。J-1050 シリーズは、微弱なキラル応答から数千 mdeg 級の強い CD 信号まで高精度に測定し、先端材料開発を支援します。
日本分光が提供する光分析装置の共通プラットフォームである JASCO スペクトルマネージャー上から制御・解析が可能です。FDA 21 CFR Part11 に対応したスペクトルマネージャー CFR 版も用意しています。
光源温度の異常、パージ用の窒素ガス流量の低下*3、試料室の漏水などのエラーが発生した際に PC 画面上のインジケーターでお知らせします。
*3 センサー付 N2 フローメーターが別途必要です。
自動認識機構に対応した付属品、検出器を本体に接続することで付属品情報(付属品および検出器の名称、型式、シリアルナンバーなど)が測定データに自動的に記録されます。また、各付属品にあらかじめ起動プログラムが登録されていると、付属品認識時にそのプログラムが自動的に起動します。
装置診断機能で装置コンディションを確認できます。また、光源の使用時間が 1000 時間を超えた際のメッセージ表示機能があり、交換時期の目安をお知らせします。
旧シリーズで測定されたデータを、J-1050 シリーズの制御用 PC で閲覧できます。
ALCOA++ 原則に基づいて、データの完全性・正確性の確保をサポートするスペクトルマネージャー CFR を用意しています。
※ スペクトルマネージャー CFR は、スペクトルマネージャーとは測定・解析の内容および操作の一部が異なります。
Eötvös Loránd University, Hungary:ELTE の József Kardos 博士、András Micsonai 博士が開発した二次構造解析アルゴリズム BeStSel を搭載したタンパク質二次構造解析プログラムです。β-sheet の推定精度に優れ、β-sheet リッチタンパク質を含むさまざまなタンパク質に対して高精度な二次構造の推定を可能にします。
目視による CD スペクトルの比較から脱却し、統計的手法を用いて、スペクトル間の有意差や同等性を客観的に判定できます。バイオ医薬品などの品質管理から従来は評価が困難であったわずかな高次構造の変化の検出まで、幅広く利用することができます。
二つの試料間の CD スペクトルの有意差・同等性を統計検定で評価可能です。2種類の抗体医薬品の先発品の間には有意差が検出された一方で、先発品とバイオ後続品の CD スペクトルには同等性が認められました。
従来は単一波長の CD 値の温度変化から評価していたタンパク質や核酸の変性過程を、CD スペクトル全体を解析することで、多段階の構造変化や中間状態を含む複雑な変性挙動をより詳細に評価できます。多段階変性における各成分の CD スペクトル、温度に対する濃度分布、熱力学パラメーターを取得できます。
※ J-1250 ProNAS には標準で付属しています。
