技術情報 アプリケーション トピックス 分光分析(FTIR、ラマン)によるマイクロプラスチック分析
トピックス

分光分析(FTIR・ラマン)によるマイクロプラスチック分析

海洋

マイクロプラスチックによる環境汚染

マイクロプラスチックは、川や海はもちろんのこと、土壌や大気、海洋生物、飲料水とあらゆるところに混入していることが明らかになっています。さらに、プラスチックが混入した海洋生物や飲料水を摂取することによる健康被害への関心も高まっています。

マイクロプラスチックに関する研究は多方面から行われていますが、赤外分光光度計(FTIR)やラマン分光光度計を用いることで、プラスチックの種類を評価できます。加えて、粒径解析や比率算出も可能です。
ここでは、マイクロプラスチック分析に役立つ、赤外分光法とラマン分光法の活用例をご紹介します。

試料サイズに合わせた分析手法

数百 µm 以上の大きめサイズにぴったり!ATR PRO ONE VIEW

ATR PRO ONE VIEWは、プリズム越しに試料を観察することができる赤外分光光度計(FTIR)用の特別付属品です。一般的なマクロATRとは異なり、測定の際に試料上の測定部位を明確に確認できます。そのため、数百 µm 程度の微小なマイクロプラスチックでも確実にセットすることが可能です。赤外顕微鏡よりもローコストで数百 µm 程度の大きさのマイクロプラスチックの測定および定性分析ができます。

ATR PRO ONE X VIEW
ポリエチレンと炭酸カルシウムの混合物の観察画像
ポリエチレンと炭酸カルシウムの混合物のスペクトル
ポリエチレンと炭酸カルシウムの混合物の観察画像とスペクトル
ナイロンの観察画像
ナイロンのスペクトル
ナイロンの観察画像とスペクトル
ポリエチレンテレフタレートの観察画像
ポリエチレンテレフタレートのスペクトル
ポリエチレンテレフタレートの観察画像とスペクトル

5~10 µm 程度の小さめサイズに!顕微赤外分光光度計

顕微赤外分光光度計は、5~10 µm 程度の微小試料の赤外スペクトルを測定することが可能です。イメージング測定を行うことで、定性分析のみならず粒径解析も可能となります。
ピーク高さ、ピーク面積や多変量解析、スペクトルの相関により色分け図を作成することが可能です。

顕微赤外分光光度計
顕微赤外分光光度計の観察画像、色分け図
顕微赤外分光光度計のスペクトル
ここでは、主として素材の情報が検出できました
(↓のピーク高さで色分け図を作成しています)
顕微赤外分光光度計での観察画像、色分け図、スペクトル

1 µm 程度のものや添加物として含まれる無機物に強い!顕微ラマン分光光度計

顕微ラマン分光光度計は、顕微赤外分光光度計よりも小さい 1 µm 程度の試料を測定できます。赤外分光法に比べて無機物の分析が得意です。顕微赤外分光光度計と同様、イメージング測定を行うことで、定性分析のみならず粒径解析も可能となります。
ピーク高さ、ピーク面積や多変量解析、スペクトルの相関により色分け図を作成することが可能です。

顕微ラマン分光光度計
顕微ラマン分光光度計の観察画像、色分け図
顕微ラマン分光光度計のスペクトル
ここでは、主として顔料の情報が検出できました
(↓のピーク高さで色分け図を作成しています)
顕微ラマン分光光度計での観察画像、色分け図、スペクトル

測定を楽にする便利機能

誰でも簡単に成分分類が可能!アドバンストスペクトルサーチ
赤外分光光度計(FTIR)

アドバンストスペクトルサーチは、機械学習を利用した成分分類プログラムです。コンピュータが学習したスペクトルの特徴を基に、未知スペクトルを35のカテゴリーで分類できます。

アドバンストスペクトルサーチ画面

JASCO Particle Analysisで簡単粒径解析
顕微ラマン分光光度計
顕微赤外分光光度計

観察画像や色分け図から粒子のサイズや面積、色などの情報を取得できます。取得した情報をもとにヒストグラムや度数分布、相関分布の作成が可能です。さらに、ヒストグラムは成分ごとの積み上げヒストグラムにもできます。

JASCO Particle Analysis色分け図
JASCO Particle Analysis積み上げヒストグラム表示 JASCO Particle Analysis積み上げヒストグラム表示
ダイヤモンドの分布(色分け図)とヒストグラム、相関分布表示
JASCO Particle Analysis色分け図
JASCO Particle Analysis積み上げヒストグラム表示
プラスチックの分布(色分け図)と積み上げヒストグラム表示

サンプルと顕微赤外分光光度計による測定データは、株式会社東ソー分析センター様よりご提供いただきました。
参照:株式会社東ソー分析センター 技術レポート No. T1917

測定と同時に定性分析!アドバンストサーチナビ
顕微ラマン分光光度計

測定しながら、リアルタイムでデータベース検索を行い、検索結果を観察画像上に表示できます。日本分光オリジナルのデータベースに照合し、ヒットリスト1位の試料名を観察画像上に表示します。

顕微赤外分光光度計と顕微ラマン分光光度計で複合分析!シェアリングホルダー
顕微ラマン分光光度計
顕微赤外分光光度計

シェアリングホルダーを使用することにより、顕微赤外分光光度計と顕微ラマン分光光度計において同一箇所の測定が可能になります。赤外分光法とラマン分光法は相補的な関係にあり、両方のスペクトルを取得することで、多角的な情報を得ることができます。