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ORD・CDの基礎(6) 旋光計の光源と特徴

旋光計の光源としてナトリウム(Na)ランプ、水銀(Hg)ランプ、ハロゲン(WI)ランプ、LEDなどが用いられています。それぞれの特徴を記します。

ナトリウム(Na)ランプ

通称ナトリウムD線を持つランプです。589.6nmと589.0nmとに鋭く強い輝線を持ち、他の波長の発光を持たない単色光源であることから、旋光度測定には古くから用いられてきました。近年は様々な光源が使われてきており、日本薬局方17局でもNa以外の代替光源の使用を認めています。ただし、「適切な干渉フィルターを用いることによりナトリウムD線に近い光線が得られるのであれば、キセノンランプなど、他の連続光源を代替法として用いることができる。」との注釈があります。つまり、他の光源を用いるには、ナトリウムD線で得られる測定値と同等の結果が得られることが条件とされ、ナトリウム(Na)ランプが基準の光源であることが明記されています。

 参考:第十七改正 日本薬局方 技術情報 JPTI2016

ナトリウムランプ

水銀(Hg)ランプ

Hgランプは紫外から可視にかけ多くの輝線を持つため、旋光度測定の光源として用いられてきました。適切な光学フィルターと組み合わせ、253, 280, 296, 302, 313, 334, 365, 405, 436, 546, 578nmで測定を行うことが可能です。

水銀ランプ

ハロゲン(WI)ランプ

連続した波長を持つ光源であり、フィルターによって必要な波長を取り出すことにより様々な波長を選択することが可能です。しかしながら、フィルターの透過特性、つまりフィルターの重心波長と輝線で得られる波長とのズレによる測定誤差は避けられません。例として、NaランプとWIランプで測定したピラルビシンの旋光度を示します(表1)。同じ589nmで測定しても、光源が異なると比旋光度の値が異なることが分かります。WIランプは、フィルターの透過波長域内で比旋光度が大きく変化していることによります(図1)。

 参考:日本分光 Polarimeter Application Data: 260-PL-0004

タングステンハロゲンランプ
表1 NaランプとWIランプの旋光度の違い
光源 旋光度[deg] 比旋光度[deg・cm2・dag−1]
Naランプ +0.2066 [α]D20 : +206.6
WIランプ +0.1967 [α]58920 : +196.7
NaランプとWIランプの違い ピラルビシンの比旋光度
図1 NaランプとWIランプの違い
青:ピラルビシンの比旋光度、赤:Naランプ、緑:WIランプ+フィルター

LED

輝線やレーザーに比べ、発光波長に幅を持つ光源です。特長として、高寿命、発熱が少ない、即時点灯性が高い(点灯後、すぐに安定する)などが挙げられます。干渉フィルターの性能向上により、選択的波長での測定が可能となってきています。とは言え、図2(外)のようにLED光のピークトップとフィルタの選択波長の位置が一致するということはありません。図2(内)のように取り出した光の半値幅は広く、形はいびつになります。旋光度測定における誤差の原因となります。

LED光のスペクトル
図2 (外)LED光とバンドパスフィルターの選択性
(内)LED光にバンドパスフィルターを通して取り出した589nm付近の光
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