日本分光の赤外顕微鏡は、ステージを動かさずに光軸を動かすことでイメージング測定が可能なスマートマッピング機能を搭載しています。スマートマッピング機能は特に顕微 ATR 法で威力を発揮します。ATR 法ではサンプルとプリズムを密着して測定しますが、スマートマッピング機能を用いれば、この密着状態を保ったままイメージング測定が可能となります。その結果、クロスコンタミネーションを防げる、ステージを動かす時間が不要となるといったメリットがあります。一方で、測定領域の制限を受けるというデメリットがあります。
このデメリットを克服すべく、日本分光では、広領域赤外顕微鏡用ATR対物鏡 ATR-5000-WG を開発しました。
ATR-5000-WGは1600 µm × 1600 µmの広領域を一回のサンプリングで測定可能です。下図の紙パックの断面の測定結果からもわかるように、ATR-5000-WGを用いると断面全体を測定することができます。
日本分光では他にも多数のATRをラインナップしています。ATRを交換することで、顕微赤外分光光度計での測定の幅は広がります(ATR-5000-MG 測定領域:400 µm × 400 µm、ATR-5000-G45 測定領域:70 µm × 70 µm)。
プリズム全体に均一に密着する試料(水)のイメージング測定を行いました。測定した全領域で、スペクトルの形や強度に変化はありませんでした。このことからATR-5000-WGは、1600×1600 µm領域全域で均一なスペクトルが測定できます。