すべての物質は臨界点を超えると超臨界状態となりますが、臨界圧力や臨界温度が高いものは実用的ではありません。現在、超臨界流体として広く使われているのは二酸化炭素です。二酸化炭素は臨界温度31.1℃、臨界圧力7.38MPaという比較的温和な条件で超臨界状態にすることができ、次のような特長を有しています。
- 化学的に不活性で毒性がありません。
- 低粘性・高拡散という特性により、短時間で抽出や分取精製が可能です。
- 温度と圧力の調整により超臨界流体の密度をコントロールでき、物質の溶解度を変化させることが可能です。
- 無極性のため油脂などをよく溶かすことができます。
- 二酸化炭素は常温常圧下で気体となって放出されるため、溶媒除去や濃縮などの後処理が容易です。
- 引火性や化学反応性が無いため安全に使用できます。
- 高純度な二酸化炭素を低価格で入手できるため、低ランニングコストを実現できます。
- 石油化学工場などから排出された二酸化炭素を回収、精製して使用しているため、二酸化炭素排出量を増加させません。
超臨界二酸化炭素は下図のように幅広い分野で様々な用途で利用されています。