技術情報 Web基礎セミナー 超臨界流体の基礎(7) 高圧ガス保安法について
超臨界流体の基礎

超臨界流体の基礎(7) 高圧ガス保安法について

高圧ガス保安法の適用について

超臨界二酸化炭素システムは、高圧ガス保安法による規制の対象となる場合があります。その適用区分はシステムの内容積及び処理量により変わります。システムを円滑に導入するためには、必要な書類を予め準備しておかなければなりません。また、システムを安全に運用するために、日常点検や定期点検が義務づけられています。多くのメーカーでは、申請書類の作成や点検などの支援をしています。

適用時の区分は下表の通りです。

名称 第二種製造者 特別第二種製造者 第一種製造者
申請の形態 第二種新規/変更届出 第二種変更届出 第一種許可/変更許可申請
処理能力の値(Nm3/日) 0 < 処理能力 < 30 30 ≦ 処理能力 < 300 300 ≦ 処理能力
申請書類作成 届書/変更届書を各自治体に提出 届書/変更届書を各自治体に提出 許可申請書/変更許可申請書を各自治体に提出
法律的に行う運用規定 1) 警戒票を掲示
2) 日常点検手順書の作成・遵守
3) 保安教育の実施
4) バルブ開閉状態の明示
5) 室内換気(換気扇、ドラフト)
6) 通報設備(電話、メガホン等設置)
1) 年一回の定期検査の実施、記録保管
2) 警戒票を掲示
3) 保安距離の制限
4) 日常点検手順書の作成・遵守
5) 保安教育の実施
6) バルブ開閉状態の明示
7) 室内換気(換気扇、ドラフト)
8) 通報設備(電話、メガホン等設置)
1) 完成検査(公的)
2) 年一回の定期検査の実施、記録保管
3) 年一回の保安検査(公的)の実施
4) 警戒票を掲示
5) 保安距離の制限
6) 日常点検手順書の作成、遵守
7) 危害予防規程の作成、届出
8) 保安教育計画の作成、遵守
9) バルブ開閉状態の明示
10) 室内換気(換気扇、ドラフト)
11) 通報設備(電話、メガホン等設置)
12) 保安統括者、保安技術管理者、保安係員の選任
高圧ガス製造保安責任者の資格 不要 不要 有資格者(製造保安責任者)必要
その他の注意事項 ・置場所確認のための査察
・ボンベ授受簿記録
・地震対策(装置の実験台への固定)
・KHK公的検査書取得
・消火器設置
・安全弁吹き出し口室外
・その他安全装置(CO2センサー設置)
・ボンベ置場アンカーボルト固定
(注)
  • 上の表は、事業所の登録設備が不活性ガスのみを使用している場合です。可燃性、毒性ガスが含まれる場合は、申請の形態、処理能力の値が異なります。また今後、法律改正により内容が変わる可能性があります。参考値として、日本分光製PU-4380一台の処理能力は約7Nm3/日であり、システム全体では約14Nm3/日と算出されます。
  • 第一種製造事業所における保安統括者等の選任体系については、事業所全体の処理能力、その他の条件によって選任不要の場合もあります。
  • 上述の室内換気(換気扇、ドラフト)は、労働基準法による規程です。

高圧ガス保安法の適用除外について

平成28年に「高圧ガス保安法施行令の一部を改正する政令案」が閣議決定され、平成28年11月1日から施行されています。

この法改正により、特定の種類のガスを使用する内容積100mL以下の分析機器は高圧ガス保安法の適用除外となることになり、この基準を満たす超臨界流体抽出/クロマトグラフシステムは規制対象外となりました。平成28年11月1日以降、適用除外の条件を満たす超臨界流体抽出/クロマトグラフシステムを購入・設置する場合は、行政への装置の設置・変更の許可申請・届出が不要となりました。

具体的にはシステムの容量が100mL以下の超臨界流体抽出/クロマトグラフシステムは、高圧ガス適用除外となる可能性があります。

適用除外の条件は概ね下記の通りです。

  • 分析機器内における高圧ガスであって、内容積が100mL以下であること。
  • 使用時におけるガスの圧力が設計圧力を超えない構造であること。

導入時にシステムが適用除外であっても、導入後にスケールアップなどの目的で容器などを変更することによって内容積が100mLを超えると、高圧ガス保安法の規制の対象になり、申請が必要になりますのでご注意ください。その時点で、ポンプ、オートサンプラー、検出器、バルブなどの機器に関して、材料証明などの各種資料をそろえる必要があります。将来、スケールアップなどの計画がある場合には、全ての機器が高圧ガス保安法に適応する形で設計されているかどうか確認しておく必要があります。

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