製薬等のライフサイエンス分野では、酵素-基質の親和性や酵素活性を調べるために、酵素-基質反応の測定と解析が行われます。カイネティクスプログラムを用いることで、酵素活性値、Michaelis定数(Km)、最大反応速度(Vmax)、阻害物質定数の解析が可能です。また、カイネティクスプログラムはペルチェセルチェンジャーにも対応しているので、パラレルカイネティクスを行うことができます。
p-ニトロフェニルリン酸を測定した例を示します。血液検査で用いられるp-ニトロフェニルリン酸は、酵素(ALP:アルカリホスファターゼ)を作用させると、無機リン酸とp-ニトロフェノールが遊離します。遊離したp-ニトロフェノールの吸収極大において時間変化測定を行い、基質濃度[S]に対し初速度(傾き)vをMichaelis-Menten式でプロットし、Km、Vmaxを求めることができます。
1滴測定ユニットを用いると、少量の液体試料の測定が可能になります。
試料をセルへ滴下し、カバーガラスをセットするだけで測定できます。測定後は試料を拭き取るだけです。光路長1.0mmセルでは最小5µL、0.2mmセルを使うと最小0.6µLで測定できます。
半導体材料の透過率や反射率から、バンドギャップを測定することができます。
V-700シリーズ、積分球ユニット、バンドギャッププログラムを用いて、結晶性シリコンのバンドギャップ測定を行いました。シリコンはバンドギャップが近赤外域にあるため、V-770を使用しました。
解析を行ったところ、バンドギャップ値は1.10[eV]であると求められ、文献値の1.1[eV]によく一致した結果を得ることができました。
バンドギャップ測定に関するトピックスページはこちら>反射防止膜は、可視領域の窓材やレンズ、近赤外領域の光通信やレーザーダイオードに組み込まれる光学素子に利用されています。近年では反射防止膜の性能が上がり、それを評価するためには、反射率0.1%以下を高精度で再現性良く評価する測定システムを選択することが必要です。V-780による絶対反射率測定で、反射率0.1%以下の高性能反射防止膜を測定することが可能です。
光学素子は、その多くが各種装置の性能を左右する部品であるため、その品質の評価において様々な基準が設けられ厳しく管理されます。素子の分光透過率や反射率等で使用される紫外可視(近赤外)分光光度計は、高い性能はもとより、煩雑な品質評価-管理を簡単に行うことが求められます。
スぺクトル診断プログラムを使用することで、予め設定した診断条件に従って自動的に合否判定を行うことができます。一度に複数の診断項目を設定するととが可能です。また、測定の際にはシーケンス保存したファイルを使用することができるため、ルーチン作業の効率を飛躍的に上げることができます。
診断項目:ポイン卜(測光値、波長)、ライン-測光値、スペクトル-測光値、面積、等積波長、重価係数(総和、加重平均)、平均値、半値全幅、ピーク(あり・なし、測光値、波長)、差(測光値、波長)、スペクトル比較
紫外可視分光光度計は、色彩評価にも有用です。
ここでは、V-750、積分球ユニット、色彩評価(カラー診断)プログラムを用いて、プラスチック製カラー反射板の色彩評価を行いました。正反射光を除去した場合と、除去しない場合とで測定した反射率スペクトルを各々色度計算し、計算結果を色度図上にプロットしました。正反射光の有無で、反射率スペクトルが異なることが分かります。通常人が目で確認できる色は、正反射光を含まない測定結果に該当します。正反射光が含まれている場合、人が目で見える色よりも明度は高く、彩度は小さく評価されます。従って、試料の表面が鏡面または鏡面に近い場合は正反射光の影響が大きいため、正反射光を除去して測定することが必要です。日本分光の積分球ユニットは正反射光を含む/含まないの使い分けが可能です。
V-700シリーズは、XYZ、L*a*b*等の各種表色系の色彩計算を行うカラー診断、ハーゼン色数(APHA)、ASTM色数など、各種規格に対応した色彩評価プログラムを用意しています。
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シリコンウェーハ上のITO膜(約50nm)の絶対反射率スペクトルを測定し、多層膜解析プログラムにより、ITO膜の膜厚と光学定数の波長分散を測定しました。膜厚は63nmと求まり、可視域で透明、近赤外域で大きなn、kを示す透明電極特有の波長分散を測定することができました。
通常の光干渉膜厚測定法では求めることができない、100nm以下の膜厚を高い精度で測定することが可能です。
絶対反射率測定ユニットを使用することで、一般的な反射測定である1回反射測定では得られない角度可変、偏光可変データを得ることができるため、より精度の高い解析が可能です。