水質分析 水道水質基準について

水道水質基準について

環境省による水道事業

安全な水を安定的に供給することを目的に水道法が制定されています。
水道法に基づいて、環境省は『水質基準』と『水質管理目標設定項目』を定めています。
水道水質基準は、水道事業者などに遵守義務・検査義務を課している『水質基準』と検査義務はないものの水道水管理上注意喚起すべき項目である『水質管理目標設定項目』とに分けられています。
更に、毒性評価が定まらず検査項目とするべきかの判断をしている『要検討項目』があります。各項目は、目標値の見直し、項目の追加・削除、計算方法などの変更などが定期的に行われています。
現在、水質基準は項目は51項目、水質管理目標設定項目は27項目あります。
水道水質基準各項目の位置付け

近年の改正トピックス

〇陰イオン界面活性剤
令和5年3月の改正で、水質基準項目の一つである陰イオン界面活性剤の分析方法としてHPLC-質量分析法(別表第24の2)が追加されました。従来の固相抽出-HPLC法(別表第24)では、固相抽出による試料の濃縮操作が煩雑であるため、回収率に大きな影響を与える場合がありました。また、従来法では蛍光検出器を用いるため、試料中の蛍光性を有する夾雑成分を誤同定する可能性がありました。新法では、感度と選択性に優れた質量分析計を用いることで、試料の濃縮操作を省略し、HPLCに直接注入することが可能になりました。
〇その他(水質管理目標設定項目)
☑ 農薬類 イプロジオンの規制強化 目標値が0.3 mg/Lから0.05 mg/Lに変更

水質基準項目

水質基準 (厚生労働省省令第101号 令和5年3月24日改正) として設定されている項目は以下の表のとおりです。
詳しくは、をクリック
項目基準値併行精度
1一般細菌1mLの検水で形成される集落数が100以下であること-
2大腸菌検出されないこと-
3カドミウム及びその化合物カドミウムの量に関して0.003 mg/L以下≦ 10%
4水銀及びその化合物水銀の量に関して0.0005 mg/L以下≦ 10%
5セレン及びその化合物セレンの量に関して0.01 mg/L以下≦ 10%
6鉛及びその化合物鉛の量に関して0.01 mg/L以下≦ 10%
7ヒ素及びその化合物ヒ素の量に関して0.01 mg/L以下≦ 10%
8六価クロム化合物六価クロムの量に関して0.02 mg/L以下≦ 10%
9亜硝酸態窒素0.04 mg/L以下≦ 10%
10シアン化物イオン及び塩化シアンシアンの量に関して0.01 mg/L以下≦ 10%
11硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素10 mg/L以下≦ 10%
12フッ素及びその化合物フッ素の量に関して0.8 mg/L以下≦ 10%
13ホウ素及びその化合物ホウ素の量に関して1.0 mg/L以下≦ 10%
14四塩化炭素0.002 mg/L以下≦ 20%
151,4-ジオキサン0.005 mg/L以下≦ 20%
161,1-ジクロロエチレン
及びトランス-1,2-ジクロロエチレン
0.04 mg/L以下≦ 20%
17ジクロロメタン0.02 mg/L以下≦ 20%
18テトラクロロエチレン0.01 mg/L以下≦ 20%
19トリクロロエチレン0.01 mg/L以下≦ 20%
20ベンゼン0.01 mg/L以下≦ 20%
21塩素酸0.6 mg/L以下≦ 20%
22クロロ酢酸0.02 mg/L以下≦ 20%
23クロロホルム0.06 mg/L以下≦ 20%
24ジクロロ酢酸0.03 mg/L以下≦ 20%
25ジブロモクロロメタン0.1 mg/L以下≦ 20%
26臭素酸0.01 mg/L以下≦ 10%
27総トリハロメタン0.1 mg/L以下-
28トリクロロ酢酸0.03 mg/L以下≦ 20%
29ブロモジクロロメタン0.03 mg/L以下≦ 20%
30ブロモホルム0.09 mg/L以下≦ 20%
31ホルムアルデヒド0.08 mg/L以下≦ 20%
32亜鉛及びその化合物亜鉛の量に関して1.0 mg/L以下≦ 10%
33アルミニウム及びその化合物アルミニウムの量に関して0.2 mg/L以下≦ 10%
34鉄及びその化合物鉄の量に関して0.3 mg/L以下≦ 10%
35銅及びその化合物銅の量に関して1.0 mg/L以下≦ 10%
36ナトリウム及びその化合物ナトリウムの量に関して200 mg/L以下≦ 10%
37マンガン及びその化合物マンガンの量に関して0.05 mg/L以下≦ 10%
38塩化物イオン200 mg/L以下≦ 10%
39カルシウム、マグネシウム等(硬度)300 mg/L以下≦ 10%
40蒸発残留物500 mg/L以下-
41陰イオン界面活性剤0.2 mg/L以下≦ 10%
42ジェオスミン0.00001 mg/L以下≦ 20%
432-メチルイソボルネオール0.00001 mg/L以下≦ 20%
44非イオン界面活性剤0.02 mg/L以下≦ 20%
45フェノール類0.005 mg/L以下≦ 20%
46有機物(全有機炭素(TOC)の量)3 mg/L以下≦ 10%
47pH値5.8 ~ 8.6-
48異常でないこと-
49臭気異常でないこと-
50色度5度以下-
51濁度2度以下≦ 10%

水質管理目標設定項目

水質管理目標設定項目 (平成15年10月10日付健水発第1010001号 令和5年3月24日改正) は以下の表のとおりです。
詳しくは、をクリック
項目目標値併行精度
1アンチモン及びその化合物アンチモンの量に関して0.02mg/L以下≦ 10%
2ウラン及びその化合物ウランの量に関して0.002mg/L以下(暫定)≦ 10%
3ニッケル及びその化合物ニッケルの量に関して0.02mg/L以下(暫定)≦ 10%
61,2-ジクロロエタン0.004mg/L以下≦ 20%
8トルエン0.4mg/L以下≦ 20%
9フタル酸ジ(2-エチルへキシル)0.08mg/L以下≦ 20%
10亜塩素酸0.6mg/L以下≦ 10%
12二酸化塩素0.6mg/L以下≦ 10%
13ジクロロアセトニトリル0.01mg/L以下(暫定)≦ 20%
14抱水クロラール0.02mg/L以下(暫定)≦ 20%
15農薬類検出値と目標値の比の和として、1以下≦ 30%
16残留塩素1mg/L以下≦ 10%
17カルシウム、マグネシウム等(硬度)10mg/L以上100mg/L以下≦ 10%
18マンガン及びその化合物マンガンの量に関して0.01mg/L以下≦ 10%
19遊離炭酸20mg/L以下≦ 10%
201,1,1-トリクロロエタン0.3mg/L以下≦ 20%
21メチル-t-ブチルエーテル0.02mg/L以下≦ 20%
22有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)3mg/L以下≦ 10%
23臭気強度(TON)3以下-
24蒸発残留物30mg/L以上200mg/L以下-
25濁度1度以下≦ 10%
26pH値7.5程度-
27腐食性(ランゲリア指数)‐1程度以上とし、極力0に近づける-
28従属栄養細菌1mLの検水で形成される集落数が2000以下(暫定)-
291, 1-ジクロロエチレン0.1mg/L以下≦ 20%
30アルミニウム及びその化合物アルミニウムの量に関して0.1mg/L以下≦ 10%
31ペルフルオロオクタンスルホン酸及びペルフルオロオクタン酸(PFOS及びPFOA)和として0.00005mg/L 以下(暫定)≦ 20%
項目15の農薬類及び対象リスト外の農薬類の中で、日本分光製品が対応しているもののリストを抜粋します。
詳しくは、をクリック
対象項目目標値別添方法併行精度
アシュラム0.9 mg/L別添方法9≦ 30%
イミノクタジン0.006 mg/L別添方法16,17≦ 30%
カルバリル0.02 mg/L別添方法10≦ 30%
別添方法14≦ 30%
カルボフラン0.0003 mg/L別添方法14
(令和3年の改正で削除)
≦ 30%
グリホサート*2 mg/L別添方法12≦ 30%
別添方法15≦ 30%
ジクワット0.01 mg/L別添方法11≦ 30%
チオファネートメチル0.3 mg/L別添方法9≦ 30%
メソミル0.03 mg/L別添方法14≦ 30%
イプロジオン0.05 mg/L別添方法9≦ 30%
シデュロン0.3 mg/L別添方法9≦ 30%
* グリホサートの濃度は、代謝物であるアミノメチルリン酸(AMPA)も測定し、原体の濃度とアミノメチルリン酸(AMPA)の濃度を原体に換算した濃度を合計して算出すること